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ワンコリア国際フォーラム ー自由で統一されたコリアー人権に関する国際協力を開催しました2020.12.24 | 

 著名な脱北者や、北朝鮮の強制収容所にアメリカ人の中でもっとも長く収監されていた韓国系アメリカ人、また日本やルーマニア、アメリカ合衆国からの人権の専門家たちが2020年12月4日にオンラインで開催されたワンコリア国際フォーラム「自由で統一されたコリア:人権に関する国際協力」で、政府や国際的な機関に対して、北朝鮮との政権との関わりの中で人権問題を最優先事項として取り扱うように促しました。

登壇したパネリストの方々

登壇したパネリストの方々

 2020年のワンコリア国際フォーラムの第4セッションであり、2020年最後になった今回のセッションでは、自由で統一されたコリアをゴールに定めて、北朝鮮の人権を改善していくための緊急かつ実質的な行動が必要であると強調されました。

 MCのグレッグ・スカラトゥ氏は、北朝鮮人権委員会(HRNK)の事務局長であり、抑圧的なチャウシェスク政権の下で育ったルーマニア人(現在はアメリカの市民権を取得)でした。彼は、HRNKは北朝鮮における人権の問題を専門に扱うアメリカの唯一の市民社会団体であり、特に北朝鮮の大規模な不当投獄、北朝鮮政権の構造や力学、人権の否定を意図的に繰り返す北朝鮮の政策などを扱っていると説明しました。

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「この30年間、人権という決定的に重要な問題は脚光を浴びることもありましたが、しばしば他の本当に重要な政治的な問題や安全保障の問題によって『打ち負かされ』てきました」とスカラトゥ氏は語りました。
 さらに、「北朝鮮において人道に対する罪が北朝鮮で繰り広げられている」と報じた2014年の国連人権諮問委員会の画期的な報告書、及び30年間も国際的な取り組みがなされながらほとんど北朝鮮に影響を与えることができていない事実に言及しながら、「恐らく人権問題を議題の最上位に持ってくる新しいアプローチを考えていく時を迎えている時だと思います」と続けました。

 日本の衆議院議員である中川正春議員は、北朝鮮難民と人権に関する国際議員連盟の共同創設者です。同議員は、2002年に中国の日本領事館に庇護を求めた北朝鮮の脱北者の存在に伴う一連の事件があり広く報じられましたが、それを通して北朝鮮における人権問題に焦点を当てました。

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「私は何が起こったのか、なぜ中国の警察は領事館に不法に侵入し、亡命した家族を連れて行ったのかを探るために現地に送られました」と同議員は続けました。日本政府は、この家族たちは解放されるべきであると強く主張しました。その数か月後、中国は家族を解放し、韓国に送りました。メディアの関心を集め、拘束の瞬間が世界中で報道された結果でした。

 韓国の国会議員の方々と会った後、中川議員は、北朝鮮難民と人権に関する国際議員連盟を組織しました。人権に関する重大な違反が北朝鮮政権によって行われ、今も継続的に行われ続けていることを調査したり確認したりしています。

「統一コリアは夢ではなく、私たちが求める達成可能なゴールです。私たちは中国に亡命を求め、自由を求めた人たちを忘れるべきではありません。そして、私たちはまた、彼らが中国警察によって北朝鮮によって送還されることを憂慮しています」と中川議員は締めくくりました。そして、「自由を求める人たちは難民と見なされるべきであり、本人が希望するいかなる国にも移動することが許されるべきです」と中川議員は投げかけました。

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 ケネス・べ牧師は、ネヘミア・グローバル・イニシアティブ(NGI)の会長であり、北朝鮮によって2012年に収監され、結果として北朝鮮に最も長く収監されたアメリカ人となりました。同氏は毎年、約1500人もの脱北者が、中国にまず渡り、3,000マイルもの距離を移動して東南アジア経由で韓国にたどり着いています、と語りました。

「コロナ禍以降はたったの300人が韓国へ脱北しました。多くの者は中国人によって捕まえられ、その中国によって北朝鮮との国境近くに収監されています。皮肉なことに、北朝鮮は彼らを自国に戻してほしくないのです。コロナウイルスのためです。なので、国境沿いに留められています」と同氏は語ります。また、北朝鮮国内の人々の絶望的な状況を強調しつつ、国際コミュニティがこのようなどこの国にも属さない難民の窮状に責任を持っていくことを促しました。

 同氏は、宣教師として北朝鮮に入国した際に自分自身が収監された経験を次のように描写しました。「政府を祈りと礼拝によって転覆しようとしたという罪で捕まったのです。北朝鮮の憲法は信仰の自由を認めていますが、それは国民には適用されません。収容所にいる時、私は人々が何の人権も保障されることなく、また言論の自由もなく、移動する権利もなく、職業選択の自由もなく、自分の宗教を選ぶ自由も無い中で生きていることを実感しました」と。

「私がネヘミア・グローバル・イニシアティブを創設したのは、北朝鮮の人々を忘れないようにするためです。北朝鮮の難民の人たちのために、『救済』(難民たちが韓国に行くことができるようにすること)を提供していくためでした。今の事態は深刻であり、1990年代における飢饉のときよりもさらに悪いです。(それでも)私は変化が訪れていることを感じます。コロナ禍の後、何か突破口が開かれうると思いますし、私たちはその準備をする必要があります」とケネス・べ牧師は強調しました。

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 ヘリテージ財団の上級政策分析官のオリビア・エノス氏は、国家の安全保障の問題と人権の問題との間で生まれる誤ったロジックについて次のように指摘しました。
「私たちが人権問題を問題にすれば、私たちは安全保障や非核化に関する他の重要な問題について進展させることができなくなるという考えは、誤った二分法です。むしろ、この二つの問題はお互いに関わり合い、強化しあう関係にあります」

 彼女は、強制収容所の被害者たちはしばしば拷問を受けたり、強制労働を課せられたり、他の形態の虐待を受けていますと語りました。ほとんどの政治的な収監者たちの声は外に届けられることはなく、収容所の中で死んでしまいます。40万人もの人たちがこのような収容所で一生を終えています。彼女は人民を組織的に従属させていく上で世代間の連座制や公開処刑、政治的な粛清をどのように活用しているかを詳しく説明しました。

「金政権は人権蹂躙という手法で自分たちの利益に結び付け支配して来ました。」とエノス氏んは語り、その一例として、強制労働をさせることで、エリート官僚たちは豪勢な商品を購入したり兵器システムを増強している仕組みを説明しました。

「私たちが人権問題を問題にすれば、私たちは安全保障や非核化に関する他の重要な問題について進展させることができなくなるという考えは、誤った二分法です。むしろ、この2つの問題はお互いに関わり合い、強化しあう関係にあります」

 エノス氏は北朝鮮の人民に対する組織的な虐待を和らげることを実現するためにはたくさんのステップが必要であると提唱しました。まず、彼女は政府が人権問題をすべての外交の交渉テーブルの中に含めるようにすることを促しました。また、何の脅威も与えることもない女性たちや子供たち、高齢者たちは解放するように金政権に訴えること。

 次に、国際赤十字が北朝鮮の実情を評価するために入ることを許可してもらえるように要求すること。北朝鮮の核プログラムの資金源となっている中国の銀行を追い込むような最大限の制裁圧力をかけること。またアメリカと韓国が協力して北朝鮮のアクションに対抗して、より広範な情報アクセスが相互に可能なようにし、人権問題と国家的な安全保障の利益の双方にシナジー効果がもたらされるようにすべきだと彼女は主張しました。

「もし、私たちが核問題で進展を見せたいと願うならば、私たちは核プログラムを保持することを可能にしているシステムとして人権問題をとり上げなければなりません」とエノス氏は結論を語りました。

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 脱北者の李ヒョンスンさんは、北朝鮮の人々が抑圧に抵抗し最終的には基本的な自由を獲得するためには、情報が必要であると強調しました。「インターネット、外国の出版物、外国からの情報は厳しく禁止されています」と李さんは語ります。全ての情報ソースは政府の検閲承認があってはじめて公開されるためです。

 李氏は文政権が北朝鮮に対するビラを配布することを禁止する「反憲法的法律」の制定により、北朝鮮の人たちに真実や情報を伝える決定的な手段をブロックしていることに対して鋭く批判しました。

「現在の韓国政府と与党は北朝鮮に情報を伝えることが北朝鮮政府を怒らせ、両コリアの間の緊張関係を生み出しているとばかげたロジックを作り出してしています」と李氏は語ります。同氏はまた「私たちがもし、北朝鮮が何の教育も無しに民主化したり、変化することを願うなら、それは幼稚園の子供たちに微分積分の問題を解かせるようにすることと同じです」と語りました。

 李氏は、「普通の市民はもちろんのこと、人権蹂躙問題を侵している当事者の人たちでさえも、人権の正しい定義を知りません。被害者にしろ加害者にしろ、そのような人権侵害が犯罪であることを知らないのです」と語りました。支配者層でさえも「関連部署や地元の役人でもなければ、強制収容所での暴政やそこに入れられている人々の窮状についての詳細についてのアクセスはほとんどできない状態」なのです。

 真に北朝鮮の人権問題を改善するためには、被害者及び、何の罪悪感も無しに市民を拷問したり処刑したりする加害者の双方が、そのようなことは「人道に対する犯罪」であるという認識を持つ必要があると李氏は語りました。

 李氏は、「真実が知られるようになれば、北朝鮮の一般大衆も自分たちの人権のために闘うことについて考えることができるようになるでしょうし、加害者の方も自分たちの人道に反する行動を振り返るようになるでしょう。情報で武装された市民の力が歴史を変え、彼らの未来を変えていくことでしょう」と結論を語りました。

 このフォーラムはGPFとアクション・フォー・コリア・ユナイティッド(AKU)、ワンコリア・ファウンデーション(OKF)の共催で開催された2020年のバーチャルフォーラムシリーズの最後を飾るものでした。

 GPFのジェームズ・フリン国際会長、AKUのソ・インテク共同議長、ワンコリアファウンデーションのリュ・ジェプン会長は、パネリストたちや、世界中から集まった100人以上もの人々に感謝の意を表明するとともに、コリア主導の統一は緊急に達成すべきゴールであり、決してずっと後に解決されても構わない問題ではないと訴えました。

 ワンコリア2020国際フォーラムは、コリアン・ドリームのアプローチに基づいた平和的で原理的なコリアの統一を主唱しています。コリアン・ドリームのアプローチでは、コリアンの理想や共有された価値や歴史に依拠しながら、自由で統一されたコリアを実現し、全てのコリアンに北東アジア地域の平和と安全保障、人権、離散家族の再会、共有された繁栄をもたらすことを目指しています。

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