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ナイジェリアでのアイデンティティ・ベースド・コンフリクトを緩和するための取り組みの紹介2020.07.23 | 

 2020年6月30日、GPFナイジェリアは「多部族/多民族社会における暴力的過激主義の防止とアイデンティティの違いよるコンフリクトの緩和」をテーマにオンラインセミナーを実施しました。

 このウェビナーは、GPFナイジェリア会長のジョセフ・ハヤブ師とKAICIIDダイアログセンターのナイジェリア代表のジョセフ・アタン氏が共同主催。 メインスピーカーとして、ナイジェリアのキリスト教とイスラム教のリーダーが参加しました。

 過去12年間で、ナイジェリアは国中に広まった暴力的過激主義により、多大なる犠牲者と物的損害がもたらされました。 また、同時にそのことは、平和と安全の維持、持続可能な開発の促進、人権の保護、法の支配の推進、人道的行動への取り組みが損なわれるものでした。
 こうしたナイジェリアの過激派グループによる活動は、ナイジェリア国内だけでなく世界にも大きな影響を与えています。

 ウェビナーの中で、スピーカーのウーイ(Wuye)牧師は、人種的、文化、アイデンティティ、政治、宗教など、さまざまな分野における過激主義を挙げました。彼はキリスト教の教義を引用し、すべての人間は、人間という意味おいて同じであるにもかかわらず、人種などのアイデンティティ の違いから、自分の隣人に対する暴力のような残虐行為を犯している、と述べました。
 ウーイ牧師は、国連決議1325(平和への参画方法としての家庭における女性のリーダーシップに言及)の採択と適切な実施を通じて暴力的な過激主義を解決できることを共有。
 そして、 国連決議2250の、若者の紛争解決のプロセスへの積極的な関与にも触れ、若者は平和活動の防止、保護、解放、統合プロセスに関与すべきであることを示しました。
 また同師は、ナイジェリア北部での暴力的過激主義の集結のため、全ての宗教指導者、農業従事者、教育者はすべて平和構築プロセスに関与すべきであると付け加えました。

 イスラム教指導者のアシャファ師は、ウェビナーの参加者たちに、過激主義を生み出す主要な問題を最初に特定するよう言及。 紛争の原因となる3つの主要な柱を共有しました。すなわち、リソース、哲学、および価値観、の3つで、これが紛争の原因となることが多くあります。
 アシャファ氏は次のように述べています。「私は7つのアイデンティティを持っています。男性であり、ヨルバ族出身であり、イスラム教徒であり、クワラ州出身であり、北中央部出身つまり中央地帯と北部出身でもあります。 私のアイデンティティを否定することは、自分自身の存在の生命線を否定することになるでしょう」。
 彼は、イスラム教の信仰は、信仰と人間という二つのアイデンティティを結びつける機会となることを付け加えました。
 また、アイデンティティの違いによる葛藤・摩擦を引き起こす要因となる恐怖や噂にも言及しました。恐怖や噂は、宗教、文化の違い、政府の方針などによって生じた摩擦・葛藤を加速させるのです。

 アシャファ師は、コーランには「私たちは一人の男性と一人の女性からあなたを作り、あなたを国家にした」と記されていると語りました。また、「最も信心深い人は、肌の色や話す言語によって考慮されるのではありません。誰が最も神を恐れるのか、によって考慮されるのです」 として、GPFナイジェリアはすべての人類は”One Family under God”であるというアイデンティティを強調していることを言及しました。

 スピーカーのジョセフ・アタン氏は、暴力的過激主義への解決策は青年の前向きな変化に見ることができると強調しました。 若者たちが暴力的な過激主義を抱く動機は、ナショナリズム、政治、貧困層のガバナンス、政治的疎外、経済力、派閥主義、インフラの未整備、若者の機会欠如、個人の利益偏重、宗教の誤用など多くの分野に見られます。
 情熱とエネルギーをもつ若者は、過激主義を植え付けられることに最も脆弱ですが、葛藤・摩擦の解決を実行するための最も強い力も持っています。

 今回のウェビナーでは、Q&Aセッションも行われ、メディア、宗教や政治的指導者、女性、若者などの実践的な解決方法と、メディアにおける俳優の役割について取り上げられました。

 ウェビナーの様子はコチラからご覧いただけます。

 また、ナイジェリアの平和構築の取り組みを掲載したウェブサイトにはコチラから。
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