お隣の韓国では保守系の尹錫悦前大統領は弾劾となり、今度は進歩系の共に民主党から李在明大統領が誕生しました。
北朝鮮との関係においては、進歩派の政権は伝統的に、いわゆる「太陽政策」と呼ばれる、北朝鮮にプレッシャーを与えるよりは、対話や支援を通した歩み寄りという方針を取る傾向にありました。李在明政権も大方、そのような方向性になることが予想されています。
それによって、韓国と北朝鮮の関係はどのように変化し、果たして平和や統一に向かっていくことができるでしょうか?皆さまはどのようにお考えでしょうか?
朝鮮半島の平和的統一を通して北東アジアと世界の平和に寄与する統一コリアを建設するというビジョンを提唱している書籍『コリアン・ドリーム』(著者:ヒョンジン・プレストン・ムン)では、過去の太陽政策の教訓を以下のように記しています。ちょうど、今の時に適った内容ですので、長めに引用させていただきます。
ーーー引用開始ーーー
冷戦後、北朝鮮政府は現金不足に陥っており、ソ連の支援に代わる収入源を探すのに血眼になっていた。太陽政策の支持者たちは、それを東ドイツに対する西ドイツの東方政策になぞらえ、北方政策と呼んだりもしたが、韓国からの支援には何の条件も制約もなかったために、北朝鮮政府はその資金を好きに使うことができた。非武装地帯で離散家族のための再会の場を設けようという韓国政府の提案を拒否した際、彼らは、いかなる支援も自分たちの望む条件下においてのみ受け入れるとはっきり宣言した。この時期の北朝鮮の動向を見れば、太陽政策が影響を及ぼした形跡は、全くと言っていいほど見当たらない。事実、2003年に北朝鮮は核拡散防止条約の脱退を宣言し、2005年の六者会合を通して核非武装化に合意したにもかかわらず、翌2006年には最初の核実験を強行している。
実際に北朝鮮は太陽政策の受恵者として、韓国から監視されない援助金を受け取ったにもかかわらず、その代価としての成果を何も出さなかった。それどころか、韓国からの援助金が核開発に直接使われたかどうかということだけが問題ではない。韓国が平和に向かって近づいていると勝手に想像している間、北朝鮮は先軍政治を強化し、核やミサイルを開発するための資源を手に入れて余裕を確保したのだ。こうした反省から、我々は、北朝鮮に対する支援政策およびすべての支援活動は、常に明確で包括的なビジョンに基づいて行われなければならないという教訓を忘れてはならない。
(『コリアン・ドリーム』118ページより)
ーーー引用終わりーーー
ここでは「太陽政策」を闇雲に否定しているわけではありません。いつかは南北関係に雪解けがやってきて、対話や支援というプロセスが重視されるべきタイミングがくるはずです。
しかし対話や支援もまた盲目的であってはなりません。前提として重要なのは朝鮮半島の未来に対する両者の合意です。韓国の中での合意であり、また、北の人々との間の合意です。では果たして、そのような合意は可能なのでしょうか?合意のためのポイントは勝者と敗者を作らないこと、と言えるのですが、そのための市民の取り組みは、現在韓国で進められています。
ぜひご関心のある方は、数々のベストセラーを受賞した『コリアン・ドリーム』の本を手に取っていただければ幸いです。
写真で考える
「北朝鮮帰国事業」
GPF Japanでは、脱北者の方々と協働しながら、北朝鮮の実情や人権問題についてお伝えしています。今回も脱北者の川崎栄子さんや李ソラさんからお聞きした話を紹介します。
1959年〜1984年まで、93340人もの在日コリアンの方々が、「北朝鮮は地上の楽園」という嘘の宣伝によって北朝鮮に渡りました。上の写真はその「北朝鮮帰国事業」の初期に参加した家族の写真です。お父さん、お母さん、長男、長女、次男、次女、でしょうか。
この写真にも可愛らしい子どもたちが映っていますが、北朝鮮へ渡った93340名のうち、40%以上は未成年だったと言われます。
お父さんは子どもたちの未来の幸せのため、
「差別が残る日本よりは、北朝鮮に行った方が子どもたちに幸せな未来があるのではないか」
北朝鮮に到着して少し経ち、その国が「地上の楽園」ではなく寧ろその逆であるという現実が分かるにつれ、お父さんは、お母さんは、どんな心境を通過したのでしょうか。
また、「北朝鮮帰国事業」が開始されて今年で66年目になるのですが、この事業は過去のものではありません。
当時渡った人たちの中でも、子どもたちの中にはまだ北朝鮮で生存している方々も多いでしょう。さらに、渡った方々には当然、子どもや孫も多く生まれており、日本からの帰国者に対する差別(日本へ行っていた裏切り者、あるいは資本主義を知っている人々として)は、彼らの子孫に至るまで今も続いていると言われます。
ですから、「北朝鮮帰国事業」による被害者は、今、この時にも、北朝鮮で差別を受けながら暮らしているのです。
川崎栄子さんや李ソラさんが北朝鮮人権問題の解決のために日夜奔走されており、頭が下がります(川崎さんは今年で御年83歳!)。念頭には北朝鮮に残してきたご家族や2000万人以上の人々の「今」を解決する、ということがあるのだろうと、考えさせられた次第です。
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〜在日コリアンは架け橋になり得るか〜
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■日時:2025年6月22日(日)14:00〜17:30(1
3:30開場)
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ジャパン代表理事)
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