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理想から逆算する~国際社会における最近の目標設定のしかた2019.07.25 | 

 皆さん、「SDGs」という言葉をご存知でしょうか?「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略です。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

 今、世界が抱える課題(例えば、テロ・貧困・難民・気候変動・感染症…など)はグローバル化しており、一つの国だけで対処することは不可能です。ですから、国際的な協調が必要不可欠であり、そのためには共通の目標を共有していかなければなりません。

 そこでまず2000年に、2015年までの目標として「ミレニアム開発目標(MDGs)」が設定されました。その後継目標がSDGsであり、具体的に17のゴールと169のターゲットからなります。
 詳細は以下のサイトを見てください。
 https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

 今回、その中でもSDGsの理念「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」に注目してみましょう。「no one」というように非常に強い表現を使っています。
 例えば、MDGsは「貧困を半減」させることを目標としたのに対し、SDGsは「貧困をなくす」ことを目指しています。

 ちょっと難しく言うと、SDGsは現在から次の一歩を踏み出す「フォアキャスティング」のアプローチではなく、あるべき理想像からスタートし、かつ未来の姿を基軸に現在の課題解決に至るロードマップを描くことで課題解決を図る「バックキャスティング」のアプローチを取っています。一言で言えば、非常に理想主義的であると言えるでしょう。

 ただその一方で、具体的にそのゴール達成のためにどれだけのリソース(特に資金)をどのように調達するかということについては合意されておらず、「絵に描いた餅」だという批判もあります。

 ただ、利害関係が複雑化し、かつ「自国ファースト」主義が台頭している現在、資金提供をどこがするかという責任まで明確にした国際的な合意は現実的に困難です。

 ですから、誰も異論のない理想像(目標)をまず提示した上で、各アクターがそれぞれの責任でその目標にコミットするという形を取ることが最近多いです。
 例えば、2015年に決まった気候変動(地球温暖化)対策のためのパリ協定も、昨月のG20で共有された新たな海洋プラスチック汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」も同様のアプローチと言えます。

 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page25_001919.html

 

「まずはビジョンを共有すること」
 グローバル化が進み、様々なバックグランドを持ったアクターが参画する国際協力の世界では、それがファーストステップと言えます。
 余談ですが、最近話題の吉本興業はSDGsのプロモーションに積極的にかかわっています。

 https://www.yoshimoto.co.jp/sdgs/

 その労働問題が、SDGsのどのゴールと対応しているか考えてみてもいいかもしれません。

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