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民主主義の「終戦記念日」?2021.08.25 | 

東京オリンピックが終わりました。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、「本当に実施できるのか?」「実施する必要があるのか?」という批判も多かった本大会ですが、終わってみれば日本のメダルラッシュもり、おおむね「やってよかった」ということで終わることができたようです。

東京五輪開催「よかった」62%(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f788f9bd4e6d80fab5dc6c366d567af12418e481?tokyo2020
五輪開催「よかった」64%…読売世論調査
https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20210809-OYT1T50143/ 

オリンピックの閉会式後は、新型コロナウイルスの感染者が一日2万人を超え、医療施設がキャパオーバーしたり、歴史的な大雨によって各地で水害が起きたりといろいろなことがあり過ぎて、オリンピック自体はるか昔のように感じられる人も多いのではないでしょうか。

その中でも終戦記念日の8月15日に入ってきた二つのニュースは衝撃的でした。

〇アフガン大統領が国外脱出 事実上の政権崩壊―タリバン、首都突入を指示
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081500333&g=int
〇香港大規模デモの民主派団体が解散
https://jp.reuters.com/article/hongkong-security-protests-idJPKBN2FG0P6

アメリカは約20年にわたって、アフガニスタンに「民主主義」「国民国家」「人権」といった理念や価値観を根付かせようと四苦八苦してきました。そのために、アメリカ建国史上最長といえる「戦争」に、アメリカ軍兵士2,400名以上が犠牲になり、1兆ドル以上の資金を投入したのです。
日本も、2002年のタリバン政権崩壊後のアフガニスタン復興会議においてホスト国をつとめ、DDR(武装解除・動員解除・社会再統合)という治安維持にもかかわりました。その後も、様々な批判もありながらも、OEF(永続的な自由作戦)支援のために、インド洋上での給油を自衛隊が行い、ODAでも多くの資金を拠出しています。決して他人事ではありません。

しかし結局は、アメリカ軍の撤退に合わせて、イスラム法の独自の解釈に基づくタリバンがアフガニスタンを奪還することになりました。
もちろん、アメリカの軍事介入そのものを批判する声も大きいですが、その20年間で成果があったのも事実です。例えば、女子教育が進み、女性の基本的人権が守られるようになってきた中で、それが逆戻りしてしまうことが懸念されます。
https://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN2FH1SM.html

バイデン大統領は人権を尊重するリベラルな人物と言われています。しかし、「アフガンの女の子を見捨てるのか」という批判があっても、撤退という判断を変えませんでした。
バイデン大統領の、「アフガン国軍が戦う気のない戦争で米兵が戦死することがあってはならない」という言葉は、日本にとっても非常に示唆的ではないでしょうか。

一方、中国はタリバンにすでに接近しつつあり、その一帯一路構想の中にアフガニスタンを組み込むことを狙っているのは間違いないでしょう。
そして、香港での民主化運動の中核を担っていた民間人権陣線(民陣)が解散したことで、あれだけ世界の民主主義陣営が支援したはずの民主化運動自体の後退が余儀なくされます。

8月15日のGlobal Peace Conventionの総会では、人権をはじめとする普遍的価値の重要性が改めて強調されました。
民主主義陣営の「終戦記念日」にならないようにしなければいけないのです。

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