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北東アジアみらいプロジェクト勉強会「なぜ日韓関係は難しいのか」を実施しました2019.07.22 |
7月13日に、代々木にある国立青少年記念オリンピックセンターにて、北東アジアみらいプロジェクト勉強会を開催し、19人が参加しました。
今回は講師として、毎日新聞外信部長の澤田克己氏を講師として招き、「なぜ日韓関係はこじれているのか」というテーマで講演を頂きました。
昨今、政治レベルで冷え切っている日韓関係ですが、それは現在の文在寅政権に起因するところが大きいという世論が強い中、澤田氏は、近年の日韓関係の悪化の原因は一時的な政治状況にあるのではないと指摘します。冷戦後の国際情勢の変化と、それに伴う日韓の関係の相対的な変遷が背景となっており、歴史の流れを俯瞰した上で現在の日韓関係を考えていく必要があるという分析を述べました。
以下、講演のサマリーを紹介します。
- ■昨今、日本で話題になっている徴用工をはじめとする問題については、日本国内での話題に上がる度合いに比べると、韓国内でははるかに関心を持つ人が少ない。日本国内では「韓国は反日」という認識があるが、実際のところそうではなく、対日政策の不十分さに起因するものである。
- ■韓国国内における慰安婦問題に対する具体的な運動についても、実際に日本でニュースになるものと、韓国内での認識は大きく食い違っている。例えば、安倍政権が朴槿恵政権と結んだ「日韓慰安婦合意」について、韓国内でその即時廃止を求める運動が起こったが、20万人を達成目標とした署名運動に2,000人が集まらないほど。日本人が思うほど、韓国では日本関連のトピックスは関心を持たれていない。
- ■90年代に、こうした課題が両国の外交問題となっていた時代とは変化している。その背景としての冷戦が終結した後の30年間の日韓両国を取り巻く国際情勢の変化がある。具体的には、安全保障と経済の大きく2つの分野で、日本の韓国に対するプレゼンスが低下したこと。
- ■安全保障分野においては、中国、ソ連、ロシアが敵性国家であり、日本とアメリカが韓国にとって安全保障上欠かせないパートナーだったのが、冷戦後の雪解けに伴い、日米への依存度が低下したこと。
- ■経済分野においては、朝鮮戦争後には世界最貧国の一つであった韓国が、日本からの円借款と、朴正煕政権下における開発を経て、「漢江の奇跡」と呼ばれる復興を遂げた後、OECDに加盟し、開発援助委員会に入るなど、近年では類を見ない発展を遂げてから、日本に対する経済的地位が変化した。
- ■韓国の国際的地位の向上と、日韓両国の関係性の変化が長い時間をかけて起きたのではなく、30年という比較的短期間に起こったことで、それぞれの国が互いに対する認識、意識の違いが原因となり、関係の悪化に繋がっている。
- ■これから日韓の関係性を考えていく上で、上記の国際情勢の変遷を認識しつつ、価値観を共有して行く土台として、様々な交流が重要である。