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「北朝鮮における自由と人権への道」をテーマとする講演会をワシントン大学で行いました2020.03.24 |
3月4日、「北朝鮮における自由と人権への道」のテーマで、米国シアトルのワシントン大学で開催された講演会は、同大学コリア研究センター、ネヘミア・グローバル・イニシアティブ、グローバル・ピース・ファウンデーションが共催。同大学生や大学教員を始め、地元からの聴講者も集い、講演と活発なディスカッションが展開しました。
講師の川崎氏は、(社)アクション・フォー・コリア・ユナイテッド・ジャパン (AKUジャパン)の代表理事及びNGOモドゥモイジャ代表として、北朝鮮の人権問題の改善と朝鮮半島の平和的統一に向けて取り組んでいます。
在日コリアン二世の川崎氏は1960年、京都朝鮮高校在学中17歳の時に、北朝鮮帰国事業の宣伝を受け、家族を置き単身で北朝鮮に渡り、自由と人権が剥奪された43年間の生活を経て、2003年に脱北。2004年に日本に戻ることができました。北朝鮮では、結婚した夫との間に子供が5人いましたが、2008年に娘一人とその子供たち(川崎氏の孫)も脱北に成功。現在、4人の子供たちがまだ北朝鮮で生活をしています。この北朝鮮帰国事業は1959年から1984年まで継続され、合計93,340人の在日コリアンとその家族たちが、北朝鮮は「地上の楽園」だというプロパガンダに騙されて日本から北朝鮮に渡り、その中には1,831人の日本人妻を始め、6,839人の日本国籍保持者が含まれていました。
北朝鮮の過酷な実情を垣間見ることができる川崎氏の講演に参加者は深刻な面持ちで聞き入っていました。とくに金正日政権下で起こった食糧不足により、道端で餓死する人たちを見ざるを得なかった悲痛な経験に参加者は心を詰まらせました。
北朝鮮に残された4人の子供たちの夢にうなされることにも触れ、「私の子供たちや孫たちが、私が脱北したことにより反逆罪で処罰されるかもしれないという恐怖心から不眠症が続いています。子供たちや孫たちは連帯罪で命をいつ失うか分からないのです」と語りました。
彼女は、北朝鮮に置いてこざるを得なかった家族や仲間たち、そして、朝鮮半島に住む人々の自由や基本的人権の回復が急務であることに言及し、日本に帰国して以来、その活動に尽力してきたことを語りました。また、米国や国際社会が、現在も続く深刻な状況を把握し、その打開の道を訴え続ける必要性を強調し、最後に、自由と人権が保障された朝鮮半島の平和的統一が、東アジアおよび世界的にも意味があり、一日も早く実現させなければならないという決意を述べました。
カン・スノクGPF副会長は、北朝鮮の人権問題に対する関心を喚起し、状況打開に向けた取り組みに言及し、「人権を擁護確立する出発点は、私たちが人類として同じであるという意識です。地域や民族、言語、文化の壁を超え、私たちは同じ人類という普遍的な概念を共有することで、同じ人類という家族の一員であると見ることができるようになり、お互いの自由を希求し始めます」と語りました。
川崎氏の講演に続き、参加者はグループ・ディスカッションを行い、各参加者が印象に残った点についてシェアし、「私たち」が北朝鮮の人権問題打開に向け何ができるかについて議論しました。ソーシャルメディア等を通して朝鮮半島の人権問題への関心を広げていくことなどが提案され、「学生の組織が先頭を切って情報を拡散していきたい」という発表もありました。