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【寄稿】日本や韓国の若者に焦点を当てた金融に変えられるか2023.06.05 |
最近、私が書いた記事がKorea Timesに掲載された。その記事の中で私は、朝鮮半島の統一が、若者のビジョンやニーズ、能力を実現するための金融を中心とした経済を生み出す、変革の瞬間となる可能性を強調した。
記事の対象は韓国人だったが、統一という韓国の地政学的構造の大転換を、金融システムにおける前例のないイノベーションの機会にするという基本コンセプトは、韓国だけでなく日本にも当てはまる。
若者を中心とした経済、真の起業を支える金融システムのビジョンは、ヒョンジン・プレストン・ムン理事長の著作に基づくもので、私は感銘を受けている。韓国の場合、統一は新しい国の建設に相当し、その大転換は、若者に焦点を当てた新しい制度やシステムを作るための500年に一度の機会を与えてくれる可能性がある。
しかし、朝鮮半島の統一は、東アジア全体にとって地政学的な変革であり、日本の再創造にもつながり、私たちに大きな、そして潜在的にポジティブな影響を与える可能性がある。朝鮮半島が統一されれば、日本は同じような安全保障上の課題に直面しなくなり、地政学的な役割を見直すことができ、現在の受動的で臆病な状態から、初めてグローバルガバナンスの中心的役割を果たすことができるかも知れない。
そのような新しい日本では、市民や若者を対象とした経済、つまり、CEOや年配のエスタブリッシュメントメンバーにはできないような、真に革新的で創造的なことを可能にする金融を特徴とすることができるだろう。
■自由で統一された韓国は、若者に向けた経済を創造できるのか?
韓国人が外国人に自国を説明するときに、「韓国の若者は職を失うことを恐れて朝鮮半島の統一に反対している」と発言するのが定番になっているそうだ。
なぜなら、韓国の若者は、統一がいかに自分たちを苦しめるかを強調するような、メディアで繰り返される退屈な物語に基づいて意見を形成しているからである。彼らは統一の経済的影響を恐れている。なぜなら、新聞記事やテレビ放送で、自由で統一されたコリアがもたらす肯定的な恩恵について、誰も一言も言及したことがないためである。
これらの調査では、もし自分たちが住んでいる融通の利かない社会を変革し、他の若者たちと一緒にCEOや起業家になれるようなビジネスを生み出す機会があれば、自由で統一されたコリアを支持するかどうか、ということを尋ねていない。
もし、韓国の若者たちが、統一すれば、冷酷な就職面接のための大学での過酷な試験にさらされることなく、自分の可能性を実現できると考えたら、彼ら全員が自由で統一されたコリアを支持することは間違いないだろう。
統一は、ペプシやコーラみたいにファストフード店で選択するようなものではない。コリアの統一は、個人の力を超えた複雑な地政学的力と、個人によって力強く語られるコリアの未来に対する感動的なビジョンとが組み合わさった結果であるだろう。
今後、朝鮮半島が統一に向けて動き出したとしても、新聞の意見で統一が阻止されることはないだろうし、遅くなることもないだろう。
もし選択があるとすれば、韓国、東アジア、そして世界を変革する刺激的で建設的な統一と、少数者に利益をもたらす灰色で活気のない官僚的な統一の間の選択だろう。
統一は、適切に表現されれば、南北双方のコリアの若者が夢を実現し、現在の分断国家では決して達成できない社会の形成に実質的な役割を果たすことができる可能性を提供する。
統一は、工場を建設して北朝鮮の安い労働力を搾取したり、北朝鮮の貧しい人々が利用できない高速道路や高価なショッピングモールを平壌に建設しようとするような、韓国の財閥の短期的な利益のためであってはならない。
統一コリアにおける金融のあり方は、北と南の若者の将来にとって重要な意味を持つ。私は、金融改革が朝鮮半島の変革的統一の触媒となりうるというヒョンジン・プレストン・ムン理事長の著作に感銘を受け、これは韓国の若者、そして世界中の若者にとって実行可能な青写真を提供するものであると感じている。
ムン理事長は、銀行とお金の役割を変え、韓国の革新的で活力に満ちた若者たちが、夢を実現するために必要な資金を利用できるようにする、深遠な金融改革を構想している。
韓国の若者たちにとって、最高の教育を受けて高校や大学を卒業したとしても、夢を実現するためのサポートがないことが最大のフラストレーションになっている。
銀行は韓国のコングロマリット(巨大複合企業)を相手にし、革新的な若い韓国人にほとんど機会を与えないプロジェクトに融資している。ムン理事長は、韓国の若者が自分のコミュニティで自らのビジネスを始めるために必要な金融支援を受けることができるような金融革命を提案している。
ムン理事長は、金融の未来に対するこのビジョンを、より大きな精神的・社会的な運動、つまり朝鮮の伝統を最良のかたちで体現する「コリアン・ドリーム」と呼ぶものにまで広げている。このコリアン・ドリームの中心は、朝鮮古来のビジョンである「弘益(ホンイク)」であり、相互利益と包括性にコミットする包括的な人間社会である。
財閥支配の韓国では、受益者は年配者を中心としたごく一握りの男性であるのに対し、「弘益(ホンイク)」哲学に着想を得たこの新しい金融概念は、南北の若者を集め、未来世代の真のニーズに焦点を当てた企業や団体を設立することができる。
南北の若者が力を合わせ、若者の活力を中心とした新しい社会を作る統一プロジェクトは、韓国だけでなく、全世界を変える力を持つだろう。
もし金融の役割が、北の仲間たちと深夜にブレーンストーミングをした後に若者たちが思いつく創造的なプロジェクトをサポートすることだったらと想像してみて欲しい。韓国に新しい希望と約束をもたらし、地域の平和と安定を実現するために、これ以上のことはないだろう。
もし、韓国の若者たちが統一を500年に一度のチャンスと捉え、南北双方を刷新し、自分たちの未来を築くことができる民主的な経済を作り上げることができれば、統一に反対する人はいなくなるはずだ。むしろ、私たちの世界を変えるような、統一を求める大衆運動の始まりが見られることだろう。