ケニヤの文部省は、今年の初め世界に先駆け、教員と学校を評価する新しいガイドラインを導入しました。このガイドラインは、青少年の人格と創造性を育み、社会貢献する世界市民を育成できる教師と学校の能力を評価するものです。

　8月13日、ケニヤ文部省、グローバル・ピース財団（GPF）と他のパートナー団体が発表した画期的な報告書によると、ケニア公共政策研究・分析研究所（KIPPRA）の研究者が、人格と創造性を育てることが、学業成績や行動様式を改善するだけでなく、学校の暴力、いじめと薬物濫用などの社会問題も減らすと明らかにました。KIPPRAは、国家的開発目標を達成できるようにケニヤ政府と他のステークホルダー（利害関係者）に政策提言するための独立した公的研究機関です。

　報告書「人格・創造性イニシアティブ(CCI)によるケニヤの高校文化の変革」によると、CCIの6つの試験校が過去3年間のトレーニングの結果、有意な改善が見られたことを評価しました。CCIは、学校と家庭の環境で起こる特定のニーズに対して、自ら模範となり、誠実さをもって、創造力を育成しながら学校文化を改善していこうとする学校職員と教師によって進められています。

　CCIに選ばれた学校は、その導入以前は学校全体の士気や学業成果に深刻な影響を及ぼす数多くの問題に直面していました。すなわち、低い自尊心、劣悪な時間管理と目標設定、荒んだ対人関係、同級生からの否定的なプレッシャー、薬物乱用、飲酒、固定観念と偏見、教育への否定的な態度、周囲のコミュニティの支援の不足、教師に対する否定的な態度、貧しい育児、粗末な衛生習慣、長期欠席といった問題です。

生徒たちは、マイナ・ワンジギ高校で課外活動と学業成績の優秀さで表彰されました

　報告書によると、参加校ではこの活動が始まって以来、学業成績が改善し、懲戒問題が減り、学生の間で自尊心が高まり、対照学校群と比較して全体的に学校文化と校風が改善したことが明らかになりました。
　さらに、暴力、いじめ、薬物濫用などの社会問題が減少したこと述べています。教師たちが生徒たちを支援し、生徒たちとの関わりを深めるなどの教師の仕事ぶりが改善することにCCIが役立つことを結果として示しました。また、生徒たちが健康的なライフスタイルのための行動を手本としていることが明らかになり、教師、親と学校コミュニティが道徳規範と美徳のビジョンを共有して、一致協力する必要があると促しています。

　また報告書では、ケニヤ人と世界市民性を向上させるための道徳規範と美徳の文化を築く柱として、学校カリキュラムの中で国の価値観を統合することを勧めています。最後に、報告書はCCIの恩恵を国全体の子どもたちと青年に広げるためにCCIを拡大することを提言しています。

　報告書の発表時の記者会見で、ケニヤ教育大臣のジェイコブ・カイメニ教授は、GPFが支援する「国家人格・創造性協議会」が学校文化を変革する上で重要なコラボレーションを行ったことを称賛しました。「学問的な発展と人格の発展は、結びついていて、分けることはできません」とカイメニ大臣は強調しました。

　またカイメニ大臣は、試験校がGPFプロジェクトの「Power of 1 Percent for Change and Peace（変化と平和のための1％の力）」のような成功事例を開拓したことを評価しました。このプロジェクトは生徒たちが社会に還元するために、彼らが持つ時間、リソースやエネルギーの1パーセントを寄付することを奨励する活動のことです。同大臣は、すべての利害関係者に対して、自身の生活の中に「Power of 1 Percent」プロジェクトを取り入れるようにと訴えました。

ナイロビのキリマニ小学校の児童達がアフリカの政治家ネルソン・マンデラの人生について学んでいます

　企業支援者のマヌ・チャンダリア博士とカイメニ大臣は、KIPPRAが報告した内容に基づき、小中高校と高等教育機関においてCCIを拡大するために政府は投資すべきであると主張しました。「人格はあらゆる人間の基礎であり、それは小学校レベルで始まらなければなりません」とチャンダリア博士は述べました。

　GPFのCCI責任者、トニー・ディバイン博士は、「学校が学校文化を変革し、そして教師がより満足できれば、生徒は更に動機づけされ、学業成績が向上し、規律的、社会的問題は減少します。そして、卒業する生徒たちの雇用は増加します」と述べました。

※より詳しい報告文（英文PDF）はこちらからダウンロードできます。Character and Creativity Initiative – Kenya News of Evaluation Launch
　
－ミスコ・ムンガイ氏（グローバル・ピース財団ケニヤ）の報告による