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レジ袋有料化から考える、「意識を変える」政策の難しさ2020.08.23 |
国の政策の変化を身近に感じることは普段あまりありませんが、7月1日から始まったレジ袋有料化は、買い物をするたびに若干の違和感とともに、この政策について考える機会を与えてくれます(すぐに忘れますが)。
いまだに賛否両論のあるこの政策ですが(ネットを見るとネガティブな意見がホントに多い)、そもそも何のために始まったんでしょうか。
2019年12月に経済産業省と環境省が出した「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」には以下のように書かれています。
プラスチックは短期間で経済社会に浸透し、我々の生活に利便性と恩恵をもたらしてきた。一方で、資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化といった、生活環境や国民経済を脅かす地球規模の課題が一層深刻さを増しており、これらに対応しながらプラスチック資源をより有効に活用する必要が高まっている。こうした背景を踏まえて 2019年5月に政府は「プラスチック資源循環戦略」を制定し、その重点戦略の1つとしてリデュース等の徹底を位置づけ、その取組の一環として「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととした。
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/document/guideline.pdf
「消費者のライフスタイル変革」が目的だと明記されています。
脱プラスチック、減プラスチックが世界のトレンドなのは間違いありませんが、「なぜレジ袋(ポリ袋)なのか?」「なぜ今なのか?」という批判は当然出てきますよね。
批判の例としては、「生鮮食品をマイバックにいれるのは抵抗がある」「海ゴミの中でポリ袋が占める割合はごくわずかで効果がない(2016年の環境省の調査によると0.3%)」「万引きを誘発するのではないか」「小泉環境大臣のパフォーマンスだろ」…等々。
中でも経済に対する悪影響を危惧する声が多いです。もちろんレジ袋を作っている企業からしたら、他にもペットボトルや使い捨て弁当容器などもある中で、「なぜウチだけ?」という狙い撃ちされた思いが強いでしょう。
また、消費行動を抑制してしまうのではという懸念もあります。ペットボトルの飲み物を買いに行った「ついでに」お菓子やヨーグルトもと思ったけど、袋がないし、手に持っていくのも面倒なのでやめておこうといった感じです。
https://otokitashun.com/blog/daily/24133/
4~6月期のGDPの速報値が先日発表されましたが、前期比でマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%と戦後最大の減少率です。このような中で消費行動に冷や水を浴びせるような政策が適切かどうかは当然議論になりますよね。
これらの批判に対して小泉環境大臣は、「レジ袋を無くす事が目的ではない。有料化をきっかけに問題意識を持って一人ひとりが始められる行動に繋げてもらいたい」と答えています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48082d8e30d8891c2b5985dcd312b424b4ef3429
この「ライフスタイルの変化」や「意識啓発」というのはマジックワードで、「違うレイヤー(次元)の話」にすることで批判に答えているように見えてしまいます。助成金申請の際に、「この事業は課題を社会に啓発することにも意義があるんです」と強調したNPOの人も多いのではないでしょうか?
しかし、重要なのは「どれだけの事業(インプット)をしたか」よりも「ターゲットの人たちの行動がどのように変わったのか」です。
今回のレジ袋有料化に関しても、その成果(アウトカム)をどうやって測るのかという指標を明確にすることが必要です。どこかに公開されているのでしょうか??私は見つけられませんでした。