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おひとりさま社会に向かうニッポン2019.11.25 | 

 この原稿を書いているのは11月22日。「いい夫婦の日」です。「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」というのがあるんですね。
 ちなみに今年は☞ https://www.fufu1122.com/poy/
 
 もちろん「いい夫婦」になること、「いい夫婦」であり続けることは大変ですが、そもそも「夫婦」になることが難しい時代になってきたようです。
 2015年の国勢調査によると、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)は、男性23.4%に対して女性14.1%。これが2035年になると男性30%、女性20%になると言われています(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。
 さらに言うと、同じく2035年には有配偶率は男性55.7%、女性49.3%と、女性の有配偶率が初めて50%を切ります。
 このように日本社会の「ソロ」(おひとりさま)化はどんどん加速していきそうです。
 
 さて、今のところ日本では同性婚は法律的に認められていないのに、なぜ男性の方が未婚率の方が高いのでしょうか?ちなみに20代~30代の男女比は50.7対49.3(2015年)なのでほぼ同数です。
 理由を簡単に言えば、一部の男性が未婚の(若い)女性と再婚し、離婚した女性は再婚せずに母子家庭のまま暮らすケースが多いということです。
『言ってはいけない』『上級国民/下級国民』などの著書で有名な橘玲氏はこの現状を、「一部の男が複数の女性と結婚する『事実上の一夫多妻』」と呼びます。同時に複数の女性を妻にするのではなく、結婚と離婚を繰り返す言わば「時間差の一夫多妻」です。

 となれば、当然「あぶれる」男性が出てきます。
 男性の年収と有配偶者率は明確な相関がありますので、年収の低い男性の方があぶれる可能性が高いです。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30webhonpen/html/b1_s1-1-4.html

 また、男性の生涯未婚率は正規雇用16.6%に対して非正規雇用50.7%になります(2015年国勢調査「就業状態等基本集計」)。非正規雇用の男性は、会社共同体からだけでなく女性とのつながりからも疎外されるリスクが高いと言えます。
 一方で20代男性の53.3%が交際経験なしというデータもあり、特に男性において女性とのコミュニケーション経験やスキルにおける格差が開いているようです。
 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1606/21/news136.html

 ところで、今年の7月に起きた京都市内のアニメ制作会社の放火事件では、男女36人が死亡、33人が重軽傷を負いました。
 自身も重傷を負った容疑者の男性(41)が最近回復し、治療に携わった医療スタッフに対して「人からこんなに優しくしてもらったことは、今までなかった」と感謝の言葉を伝えたといいます。
 世の中の「優しさ」の格差、もしくは偏在が何を生み出すのかということを考えざるを得ません。

 そして社会のソロ化が進んでいけば、少子化は当然加速します。2019年の一年間に生まれる子どもの数が90万人を切りそうです。100万人を切ったのが2016年でしたから、わずか3年間で生まれる子どもの数が10万人も減ったことになります。
 
 いい夫婦の日に考えるにはヘビーな内容でしたが、夫婦や家庭のあり方を考える前段階の問題がたくさんあることをご紹介してみました。

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