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新型コロナウイルスが浮かび上がらせた社会の分断と格差2020.04.25 |
今回取り上げたいテーマは、「アイツはコロナに感染しているかもしれない」という恐怖や不安からくる様々な差別と、反ロックダウン(都市封鎖)運動に象徴される格差の問題です。
まずは差別の問題から。今回、欧米に住んでいる日本人の多くの人が、「アジア人」ということ公共の場で露骨に避ける態度を取られたり、時には罵倒されたりしています。
日本においても、コロナによる肺炎で亡くなった方の遺族が「お前も感染者か」と言われたり、感染した人の家に石を投げ込むといった嫌がらせがあったりというニュースも皆さんもご覧になったでしょう。
国連が4月23日に出した報告書によると、世界中で差別が広がっており、複数の国では医療従事者が治療に携わっていることを理由に暴力を振るわれたり、指導者が新型コロナを「外国人の病気」と呼んだりしている例もあるとしています。
これらの現状に対し、国連のグテレス事務総長は23日、新型コロナウイルスの世界的な拡大は「経済・社会的な危機であると同時に、人権への危機になるリスクがある」と警告しています。
また、今や世界で最も感染が広がっている地域の一つである米国・ニューヨークでは、「コロナはアジア人が持ち込んだ」というアジア人差別が激しく、市当局が、「差別しないで。アジア人は医者であり、薬剤師であり、看護師であり、コンビニ店員であり、配達員であり、ご近所さんであり、そしてニューヨーカーだ。仲間なんだ」というメッセージをムービーで配信しています。
https://twitter.com/NYCMayorsOffice/status/1251604811251843073
https://www.cnn.co.jp/usa/35152807.html
感染症に対する恐怖、そして「清潔にしなければいけない」というプレッシャーは、コロナ対策としてはもちろん必要なことではある一方、「不潔(に見える)な他者」を排除しようとする暴力的過激主義を加速させないか非常に心配です。
コロナによって改めて浮かび上がったもう一つの問題が格差です。米国では今、反ロックダウンを求めるデモや集会が各地で行われています。
ロックダウンがあってもリモートワークで対応が可能な人たち(自分たちの安全のためにもロックダウンを支持する)と、仕事がなくなって生活が困窮している製造業やサービス業の人たち(経済活動の再開を希望する)の格差が浮き彫りになってきました。
コロナは万人がかかる危険性のある病気です。日本でも志村けんさんや岡江久美子さんといった有名人もコロナで亡くなりました。だからこそ、「人類共通の敵」に向かって世界が団結していく必要があるのは間違いありません。
ただ社会的に脆弱な人の方がコロナで犠牲になるリスクが高いのも事実なのです。
<「コロナは貧しい人から犠牲に」ハーバード大教授が不都合な真実を警告>
https://diamond.jp/articles/-/233836
感染症のパンデミック(世界的流行)は、社会の分断と格差をあらわにする作用があります。
だからこそ、社会的に弱い立場に置かれた人たちを守り、包摂していく取り組みが求められています。