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コロナで始まり、鬼滅で終わった一年をふり返る2020.12.26 |
今年もあと1週間となりました。皆さんにとって今年一年はいかがだったでしょうか?
今年をふり返れば、新型コロナウイルス(Covid-19)によって文字通り社会が一変しました。物理的な移動と接触が制限された結果、様々な場面でオンライン化が進み、観光・飲食業界が大打撃を受ける一方、宅配やコンテンツ配信をはじめとするいわゆる「巣ごもり需要」を提供する産業が大きく伸びました。
「コロナで危機になったのではなく、危機がコロナによって加速した」という指摘もあります。今回のコロナは、社会的に脆弱な人たちにより多くの影響を与えました。
例えばリモートワーク一つとってみても、年収とリモートワークの実施率には明確な相関が見られます。
https://www.kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2020/aqehc40000012st3-att/coronachosa202010.pdf
平均賃金が比較的低い飲食をはじめとするサービス業・接客業は、そもそもリモートでは成立しないわけで、その分職を失う人が増えます。
その一方、各国政府は経済対策で空前の金融緩和・財政支出をしています。その結果、日本でも日経平均株価が2万6千円を突破し、バブル崩壊以降の最高を更新しました。明らかに実体経済を反映していないこの新たな「バブル」は、株式を持っている比較的裕福な人たちにより多くの恩恵を与えています。
このようにコロナはすでにあった経済格差をさらに拡大させたと言えるでしょう。
今は感染拡大の「第3波」の真っただ中であり、「Go to トラベル」キャンペーンも年末年始は一時停止せざるを得なくなり、コロナ対応に対する批判もあって菅政権の支持率も急低下しました。
来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックに関しても、実際に外国から選手やお客さんを招いて実施できるか不透明なところが多いです。特に在留外国人労働者が仕事を失ったり、人権無視の労働環境で働かされたりと、その窮状がニュースになることも多く、外国から「おもてなし」する前にやらなければいけないことは山積みです。
さて、大変なことが多かった2020年ですが、後半は「鬼滅の刃」が空前の大ヒットをしました。来年の節分は、豆ではなく刀(日輪刀)を投げるようになるんじゃないでしょうか。家庭内で鬼役をするお父さんはお気を付けください。
「家族愛」「自己犠牲」「仲間」「勧善懲悪」「必殺技」…といったいわゆる「ベタ」なものをこれでもかと詰め込んだこのコンテンツがここまで流行るのは、やはり皆さん王道を求めていたということでしょうか。
その一方で、11月のアメリカ大統領選、そしてその後のトランプ大統領の振る舞いによって、「社会の分断」という言葉を改めていやというほど聞くことになりました。
そんな中、TIME紙が2020年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」にバイデン米次期大統領とハリス次期副大統領を選びました。「大統領」「副大統領」としてまだ何の実績もない二人を選ぶのは批判もありますが、同紙は選出理由を、「復興と再生の片道切符を提供し、米国人はそれを買った」「共感の力が分断の猛威よりも強いことを示した」としています。
バイデン氏やハリス氏が分断を乗り越えられるかどうかは未知数ですが、2021年はコロナ禍からの復興や、分断ではなく共感と対話が進む年となることを願ってやみません。
それでは皆さん、よいお年をお迎えください。