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選挙に行っても仕方がないと思っていませんか?2021.10.25 |
9月29日に行われた自民党の総裁選はメディアでも盛んに取り上げられ、その効果もあってか自民党の支持率もずいぶんと回復しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA251ZZ0V20C21A9000000/
一方、10月1日にようやく緊急事態宣言が解除され、感染者数・重症者数も一時に比べればずいぶん落ち着いてきました。ただ冬に向けては第6波も懸念されており、そうなれば緊急事態宣言がまた出されることでしょう。
東京においては、2021年に入って緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていない「ふつうの日」は、9月30日までにたった28日しかありませんでしたので、すっかり「緊急事態宣言慣れ」してしまっているのではないでしょうか。
しかし、日本で「緊急事態宣言」が出されたのは戦後初めてであり、これまでにない「行動制限」が私たちの社会にかかり、私たちの生活や仕事にも大きな影響を受けています。「いつ」「なぜ」「どの程度の」制限をかけるかは、現在の法制度上では総理大臣や自治体の長の判断に委ねられている部分がとても大きいです。
議院内閣制の日本では、緊急事態宣言を発令する権限を持つ内閣総理大臣を私たち市民は直接選挙で選ぶことはできません。また、自民党員でなければ、実質的には内閣総理大臣になる自民党総裁を決めることに参画できないわけです。
その一方で選挙の投票率は国政選挙でも50%強程度。若い世代ほど低いのが現状です。
https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/ritu/index.html
言論NPOが行っている「日本のどの機関を信頼しているか」という調査では、選挙の投票先となる政党を信頼しているのは3割以下。
http://www.genron-npo.net/future/archives/7410.html
さらに、政治家を自分たちの代表だと思うかという質問に対しては、「代表だと思わない」という見方が45%となり、「代表だと思う」(41.5%)という見方を上回りました。
その理由として最も多いのは「政治家が有権者を意識するのは、選挙の時だけだから」という理由で、37.8%でした。ルソーの「人民は自由だと思っているが、それは間違いだ。彼らが自由なのは選挙のときだけである。代議士が選出されるや否や、奴隷になり、無に帰してしまう」(『社会契約論』1762年)という言葉を思い出させます。
そのような現状を受けて、「選挙で代表者を選び政治を委ねる」という仕組み自体が限界なのではないかという議論も盛んになってきました。もちろん「選挙」という民主主義の根幹を否定するのではなく、選挙のオルタナティブ(代替案)を充実させていこうというものです。
その一つが、選挙以外の場を重視する「参加民主主義」という流れです。具体的には、住民投票や国民投票、自治体の住民組織や市民委員会、NPOやNGOの活動に参加する、エネルギー政策や環境政策にかんして議員や官僚にロビイングする市民団体に加わる、街頭でのデモといったものです。
ただ、これらの活動はかなりハードルが高いのも事実。さらに、街頭でデモしている人たちは、イデオロギー的に偏っている「ノイジー・マイノリティ」ではないかという批判もあります。つまり、彼らは市民の「代表者」として認められる正当なプロセスを踏んでいないのではないかというものですね。
もう一つは、「くじ引き」(抽選)で代表者を決めようというもの。くじびきで代表者を決めると言っても、今いる議員をすべてクビにして新たに選び直すというわけではありません。
特定の課題やテーマ(選挙制度改革や憲法の改正など)に関して、まず抽選で討議をしてもらう市民を選び、そこで議論し決定した案を、議会や国民投票で公的に可決するというプロセスを経るというもので、すでに欧米では実践例もたくさんあります(ダーヴィッド・ヴァン・レイブルック著『選挙制を疑う』)。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64685
裁判員制度の政治バージョンと考えたら理解しやすいのではないでしょうか。
いろいろ課題はあったとしても、選挙が私たちの政治参画の最も重要な機会であることは間違いありません。まずは皆さん、10月31日の衆議院選挙に行きましょう!